みなさまいかがお過ごしだろうか。
新元号が発表され、平成最後の暦となる2019年4月。ビットコインを筆頭に仮想通貨の価格が急騰した。
仮想通貨復活の兆しか、終わりの始まりなのか。
そして新たな疑問が浮かんできたので、このタイミングで筆をとることにした。
コインチェック事件後の出来事を振り返りながら、2019年4月現在の私の与太話を読んでほしい。なお、犯人探しや事件の検証などは行っていないのであしからず。
前代未聞の巨額の盗難事件が醸し出す魅力。
その力に魅せられた奴らがいる。
人は彼らを「ハンター」と呼ぶ。
目次
コイン×ト×ツウカ
仮想通貨元年と呼ばれた2017年には、さまざまな名勝負や珍勝負があった。私も稀有な体験をした。
当時Zaifでチャットをしていた方々は、いま息をしているだろうか?
この記事を読んでいる貴方は、まだ目が死んでいないようだ。
今はそれでいい。
舞台上に残ってさえいれば、敗北ではないのだから。
ツウカ×ノ×トウタ
さて、コインチェック事件後、同社サービスからいくつかの仮想通貨が姿を消した。
コインチェックから消えたのは、XMR、REP、DASH、ZECの4つ。
いわゆる匿名通貨の規制だ。
匿名通貨は海外の仮想通貨取引所では売買可能なので、完全に淘汰されたわけではないが、日本国内在住者が手にする機会は激減した。
今後も同社が取り扱うことはないだろう。
ジケン×ノ×ナゾ
2018年1月26日に発生したコインチェック盗難事件。
当時、一体なにが起きたのか?
犯人は誰か?
犯行の目的は?
仮想通貨は、どうなってしまうのか?
・・・
事件が起きた当時はある種パニックのような状況で、マスコミの報道も連日過熱した。
落ち着いた今、情報を取捨選択すると、なにか見えてきそうだ。
NEM盗難の手法はこちらの図がわかりやすい。
巨額の仮想通貨NEMが不正流出した事件から1年。ハッカーは事件の半年前から社員への接触を重ね、信頼関係を築いてからウイルスを送りつけていました。その巧妙な手口が明らかになりました。https://t.co/LSfBzugv61 pic.twitter.com/09orBC3BRu
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) January 26, 2019
昨年、NEM盗難事件について、ブロックチェーンの仕組みを交えた解説をした。ぜひご一読を。
未だ明らかにされていない謎は多い。
次でみていこう。
ジケン×ノ×ソノゴ
事件から約1年3ヶ月が経過した。
この間に起きた事実を並べてみよう。
1.ダーク×ナ×ウェブ
またそこには陽の目の当たらない地下経済の存在が垣間見える。
盗難NEMはダークウェブで取引されたと報道されている。
使わない知識を増やしてもしようがないが、ダークウェブとは何かを知りたい方は、次の記事を斜め読みするとよいだろう。
また、同年zaifで起こった同様の盗難事件について、ミキシングという手法による資金洗浄の痕跡がみられたそうだ。
次の記事ではコインチェック事件と比較し、資金洗浄の動き方の違いから、犯行グループの違いについても考察している。
ご存知の方も多いだろうが、NHKで放送された番組を基に作成された下記の記事も読み応えがある。
事件が解決するまで、今日もホワイトハッカーは戦っているのだろう。
さながら「MMO版コナン」または「ルパン PART5」のルパン・ゲームのようだ。
2.ホウコク×ハ×ボウコク
2018年10月にロシアに拠点を置くサイバーセキュリティ企業「Group-IB」が調査報告を発表している。
上記の報告は、2019年3月の国連の報告書にも引用された。
対して同3月には、天才ハッカーCheena氏からこんな記事も。
ロシアのITセキュリティ会社の報告に端を発する某国ハッカー集団犯行説は、具体的根拠を公表しておらず真偽は不明だ。
ロシアに拠点を置くサイバーセキュリティ企業「Group-IB」とは何か?
少し調べてみた。
グループIBは、ハイテク犯罪およびオンライン詐欺の防止および調査における世界的リーダーの1つです。2003年以来、同社はコンピュータフォレンジックと情報セキュリティの分野で活動しており、最大手の国際企業を財務上の損失と評判のリスクから保護しています。
公式サイトから引用(翻訳)
少し古いが、ロシア政府公認の記事が翻訳されていた。
ビターリー・シュシーコフ 2013/1/10
コンピュータ犯罪調査領域及びサイバーセキュリティ領域のサービスを行っている会社である Group-IB は、ロシア連邦保安庁(Russian FSB)より国家機密を含む情報を含む業務ができる許認可を取得した、と伝えました。
ロシア語圏ではさらなる情報が存在するのかもしれないが、私のスキルではここまでのようだ。
3.ザイダン×ノ×カイセイ
2019年1月にNEM JAPANからコミュニティへ重要な案内が発信された。
案内から一部抜粋すると下記事項が判明し、既存の組織体制が失敗していると認めた。
・資金に対する乏しい透明性
・疑問符のつくようなROI(投資収益率)
・月次900万XEMに相当するバーンレート(資本燃焼率)
同時に財団は組織を改正すると発表した。
プロモーションを中心とした組織から、プロダクトを中心とした組織へと移行するそうだ。
この是非も「カタパルト」というワードに先行された期待に、プロモーションではなくプロダクトで応えられるかどうかにかかっている。
果たしてどうなるか。
5.コインチェック×ノ×エイギョウサイカイ
コインチェックは経営的に危機であっただろうが、マネックスに買収され結果的に全ての営業を再開している。
新規登録、ビットコイン決済、取り扱い通貨の販売・取引、コインチェックでんきなど。
コインチェックもまた、敗北していないのだ。
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6.ボウラク×ト×ボウトウ
2017年中に最小1円未満/xemから最大約140円/xemになったNEMは、コインチェック社の事件後徐々に下げ始め、2019年の2月時点で最大時の約3%にまで落ち込んだ。
そして2019年4月、相場のトレンド転換がみてとれる。
ダークウェブから霧散したNEMは、取引を繰り返し、NEMブロックチェーン(台帳)に刻まれ続けている。
悪意は取引の連鎖の中で洗浄されるのか?
悪意とは、人の感情。
ブロックチェーンとは、分散型台帳技術。
感情と技術はまったく別物。
しかし、ブロックチェーンは人が生み出した。
そもそも人の欲望は際限がないのだ。
アラタ×ナ×ギモン
ところで、盗難から始まった今回の事件は、意外な副産物を生んだ。
それは盗まれたのがNEMだったからこそ、生まれた疑問。
この事件は「富の再分配」なのだろうか…?
トミ×ノ×サイブンパイ
預託者の資産(≒コインチェック社の利益)がどこかへ移転したのは事実だ。
犯人には捕まって欲しい。
法治国家として当然の結末を、これほどシンプルに願うのは人生で初めてだ。
そう思うと同時に、脳内の辞書から「富の再分配」が崩壊した。
富≒資産であり、資産すなわちコインチェック(投資家)の富が誰かの手に渡った。
文字通り配分されたと解釈できるのではないか。
公平か否か、手段の是非は問うてない。
ただそれだけ…。
ネズミ×ノ×コゾウ
その昔、ネズミ小僧と呼ばれる男がいた。
江戸時代、武家屋敷から富を奪い、貧しいものに分け与えたとされる無法者だ。
少し調べると、万人ウケするような噂話がひとり歩きして「ネズミ小僧」の古典ができたようだ。
ネズミ小僧の実態はただの盗人であり、自分の贅沢のために盗みを繰り返していたらしい。
この例も公平か否か、手段の是非は問うてない。
ツミ×ト×バツ
今回の事件は、現代版ネズミ小僧の仕業なのか。
逆説的に富めるものから貧者への富の再配分は、それそのものが「盗み」なのか。
富の再分配の本質とは。
否。
今回の事件はITを利用した略奪行為である。
江戸時代であれば市中引き回しの上、獄門だ。
ネズミ小僧の最後は、、、さもありなん。
オワリ×ト×ハジマリ
2017年4月1日施行の改正資金決済法によって定義された「仮想通貨」の名称が、来年度に変更となる見通しだ。
世間を賑わした「仮想通貨」は一旦幕を下ろす。
今後ニュースでみかけても呼称の名残でそう呼ばれるかもしれないが、仮想通貨は日本の法律文書から消えるだろう。
もちろん名称を変えるためだけの法改正ではない。
だが、ブロックチェーンは終わらない。
今日もNEMのブロックチェーンは記録を繰り返す。
さて、我らがNEMはどうなるのか。
NEM×ノ×ハイボク?
結論から述べると、NEMは敗北していない。
なぜならNEM盗難事件の原因は、ブロックチェーンとしての仕組みの欠陥ではない(前回の記事参照)からだ。
NEM盗難事件は、いち取引所が起こした大きな人的失敗であり、NEMのブロックチェーン技術の欠陥ではない。
だからNEMは、分散型台帳技術としてブロックチェーンの生存競争に負けてはいない。
しかし、勝利してもいない。
重要なのはこれから何を成すかなのだ。
ハードフォーク×ニ×ヒテイテキ
前回語れなかったが、ハードフォークに否定的な理由を説明しよう。
それはブロックチェーンの根幹を揺るがしかねないハードフォークを、技術的ではない人為的な理由で簡単に容認すべきではないと思うからだ。
初心者でもわかる仮想通貨のハードフォークとは?特徴を徹底解説!
ハードフォークとは、ブロックチェーンの仕様を変更することです。ハードフォークは、いわば仮想通貨システムのルール変更です。新たなルールで仮想通貨システムを稼働させる場合、それまでの古いルールは無視されます。特定の時点から、新たなルールで生成されるブロックのチェーンが生まれるのです。
ただし、ハードフォークが行われた場合は、古いルールのブロックもそのままチェーン状に伸びていきます。つまり、ブロックがまるで食卓で使うフォークのように新旧が枝分かれするのです。
技術の欠陥ではなく、組織マネジメントの不備によって生まれた今回の事件。
だが分散型台帳技術としての本質的な危機に直面した場合、ハードフォークは有効な手段になりえる。
重大な技術的欠陥があるだとか、またはカタパルトのような大幅なアップデートであるとか。
例えば、サナギからチョウに成長するには、脱皮しなければいけないのと同じ理屈だ。
しかしまったく逆の視点、技術志向で考えると、なぜ人間の感情でブロックチェーン側の仕組みを変え(チョウでいえば強制的に脱皮し)なければいけないのか?
これはブロックチェーンの思想や哲学の問題だ。
だから結論は出ないだろうが、私はそう思う。
NEMのブロックチェーンは、記録を繰り返す。
ただそれだけのこと。
マトメ×ニ×カエテ
転がすコインは表か裏か。
その結果は転がしてみるまではわからない。
ブロックチェーンが人類にとって有用ならば、さまざまなサービスが出てくるであろう。
個人の希望観測的には、
・物の所有権を管理
・公的記録台帳の管理
この辺りが賑わってくると、目新しいし、実用的だし、近未来を感じられる。
「令和」時代を生きるのも楽しく思えるものだ。
あとがき
ここまでお読みいただき、ありがとう!
暇すぎてHUNTER×HUNTERを一気見したせいで、ところどころおかしいことになってしまった。
同じく暇な貴方にオススメするコンテンツがある。
テレビアニメ「HUNTER×HUNTER」が、今年の4月から日テレ”AnichU”枠で再放送しているので、気になる方はぜひご覧ください。